将棋について

ゲームの完成度は、ルールの完成度で決まる。

 

ポーカー、花札、カタン、麻雀、バックギャモン、人狼、モノポリー。世界には、数えきれないほどのゲームが存在する。そのなかで、将棋の完成度を超えるものには出会ったことがない。

 

9×9の81マスのうえで、詰みが成立することにいつも驚きを感じる。将棋のシステムそのものが論理をうまく競わせるようにできている。設計者は誰なんだろうと考える。

 

高校生のときに夢中になったこともあり、受けている影響は大きいと思う。考え事が好きなのはそのうちの一つだ。

 

好きな要素を挙げていくと、「負けたらすべて自分の実力」なところが好きだ。わかりやすくていい。人のせいにもしなくていいのも好きだ。団体競技だと、試合が終わったあとに、「あいつがあのときああしてれば」と言い合いになるときがある。それを見るのが嫌だった。

 

中学校のころ、サッカー部の2軍に所属していた。責任のなすりつけ合いが辛かったのに加えて、主な仕事が「ハーフタイムに1軍が飲む麦茶を、冷たく美味しく作ること」だったのにもうんざりしていた。高校に入学するとき、部活は個人でできるものにしようと決めた。

 

走るのも早くなかったし、文化系を選んだ。『ジャングルはいつもハレのちグゥ』が勧誘ポスターだったアニメ研究会と、祖父から小さいときに教えてもらった将棋部とで迷い、結果として将棋部に入った。

 

県大会には出場できていたから、適正はあったのだと思う。最後の公式試合は、現在プロ棋士をされている方が相手だった。悔しくって、そのとき指せなかった最善手はいまだに覚えている。

 

 将棋の完全性と思考する豊かさはいまも享受できていると思う。将棋はよいゲームだ。