【映画レビュー】それでも俺は飯食うぞ / 『この世界の片隅で』 片渕須直

 

この映画は、食事を中心にまわっている。

 

どんな状況でも、人々はご飯を食べ続ける。

 

空爆が始まる前の平和なひととき、軍港が火の海になったとき、不発弾が爆発したとき、大切な人を失ったとき、原爆の投下地に行ったとき。

 

映画レビューなんだから、失った右手の解釈や、クライドファンディングまわりのことを書けばいいとは思う。

 

でも、私が感じたのは食事の大切さと、「ふつうの人たち」のしぶとさだった。

 

「それでも俺は飯食うぞ」という力強さがあった。

 

『この世界の片隅で』を観ると、自分でご飯を作りたくなる。自炊しないとしても、食事を作ってくれる人に感謝が生まれる。今日、食べるものがあることが、なんだか嬉しくなる。そんなパワーがある映画だ。

 

戦争が是が非かなんて「戦争の存在はFuckである」といっておけばいい。思想的に、右か左かも、食事に割かれているシーンの数・時間から考えたら、そこまでテーマでないのではないか。

 

スミレの味噌汁や、大根とカタバミの和え物。食べてみたくなった。食べれる野草ってたくさんあると知ったから、もうちょっと草むらに詳しくなりたい。

 

豊かさとしぶとさが同居することもあるのだなあと思う。

 

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