【会計】国の財政から考える「今日よりもちょっと悪い明日を生き続けること」

10年後がどうなるだろうかと考える。たぶん、経済はいまより悪くなっている。

 

豊かさは「選択肢として、いくつもの手段を選ぶことができること」だとする。Aを選ぼうがBを選ぼうがCを選ぼうが、それぞれにメリットがある。魅力的だと思うものピンとくるものを決めることができる。

 

経済が悪化すれば、国は弱くなる。豊かさの反対の意味があるとすれば、貧しさだ。「選択肢として、せいぜい2択で、どちらを選んでも今日より悪くなること」を言うのだと思う。

 

おおざっぱに、この国の支出を分類しよう。社会保障についてのもので3割、国債の償還に2.5割、地方に渡すお金で1.5割だ。合計すると7割だから相当のものになっている。

 

そのうち、社会保障費と国債について考えると、年々額が増えていると言ってもいい。少なくとも、増加に歯止めがかかることはないだろう。

 

国の収入は、これから劇的に増えることはない。平成に入ってからは上がったり下がったりしているけれど、古き良き時代に戻ることはないと思ったほうがいい。

 

こういうときの場合、努める方法は2つある。「収益増加」と「経費削減」だ。残念ながら前者のほうは有力じゃないから、後者のほうを策として行うことになる。

 

支出のいちばん大きなところは3割の社会保障費だ。内訳は、年金償還が5割、医療費が3割、福祉その他が2割だ。メスが入るならこの3つのうちのどこかになると思う。

 

はっきりいってしまうと、前提としてダメ元なのだ。削ったとしても、2000億3000億くらいでは防壁にならない。一般会計でもざっくり100兆円規模なのだ。それと比べてしまうと小さな額になる。つまり、将来的に「抜本的な改革」というのも存在しないところから考えていくのが自然なのだ。

 

悲観的なことを言いたいわけじゃない。でも、数字だけ見れば悪化し続けていく。「今日よりもちょっと悪い明日を生き続けること」についてはこれからも考えていきたい。

 

もし活路があるとするならば、生活を変えていくことだと思う。というのも、財政の前提は覆せないからだ。「いまのままの私でいい」という思想だと、国の財布が詰みそうなんだから、個人の生活も勝手に行き止まりになる。

 

悪化という形ではあるけど、「これから国は変わっていくんだ」と頭に入れてこれからの10年に適応していくことは間違いなく有効だ。とか言ってるとまあ、若者のなんとか離れとか指さされるのだろうけれども。

 

年金や投票層の問題で、高齢者を憎んでも的外れなのも言っておきたい。いまの社会のインフラを作ったのは先人たちだ。お陰様で世界で異様なレベルで、治安がよくって、美味しくて栄養のあるご飯が安く食べれる国になっている。彼らと 協力して国に働きかけていくくらいじゃないと虚しいだけだ。

 

 10年後、私たちの目の前にある選択肢はどんなものであれ、いまより「数が少ないし、どれもパッとしないもの」になるだろう。どう選択しようが昨日よりマシになることはない。

 

できることとしては、先を見据えての適応の準備。「なにに幸せを感じ、なにを幸せとするか?」を明確にしておいたり、積み重ねたら資産になるものに投資を始めたりしておくこと。教養でも人脈でも、なんでもいい。

 

最後にあるとすれば私だって怖いが、経費削減のときに、可能な限り合意の上でそれが行われるようにする態度なのではないだろうか。

 

【参考リンク】

1.

平成27年度予算の概要:予算委員会調査室(http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h27pdf/201513704.pdf)

2.

一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移 : 財務省

3.

社会保障給付費の推移:厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/05.pdf)

4.

日本国債 - Wikipedia